自閉児の発達段階の移行(その2) : 段階IIから段階IIIへ
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概要
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自閉発達障害を持つY児(女)の事例が,自閉障害の知的発達段階IIから段階IIIへの移行と,それに伴う社会的相互交渉,コミュニケーション,常同行動と興味の変化の関わりで検討された。資料として7歳9カ月から10歳8カ月の間に5回実施された発達相談時の発達検査結果,観察記録,母親からの報告が用いられた。Y児は初回診断時に発達段階IIにあり,約2年後の生活年齢8歳9カ月には段階IIIに移行していた。発達の層化現象は自閉発達障害に特徴的な伸展を示した。自閉障害に特有の相互的な社会関係の劣弱さは段階移行に伴い改善があった。言葉によるコミュニケーションは初回より2語文を主に用いており,第5回診断時まで大きな変化はなかった。色紙と色へのこだわりと興味の偏りがあった。最初は切り紙に凝り,段階IIIに移行して後に折り紙に凝るようになり,色へのこだわりも変化した。さらに,段階IIから段階IIIへ移行する前後の時期に自傷行為と常同行動が顕著になった。描画は好まなかったが,初回には紙一面を塗り潰し,後に指示すると教えられた人物の顔部をパターン化して書いた。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1998-03-30
著者
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