発達の質的転換過程の研究(9) : 自閉児の1次元可逆操作の獲得
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概要
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自閉児2名(男)の縦断資料(3歳から6歳まで)によって,自閉児の発達段階IからIIへの移行を検討した。この間の「発達の層化現象」の収束過程は躯幹-四肢レベルが先行して1次元可逆操作を獲得し,手-指レベルがそれを追及し,言語-認識レベルが最低水準からそれを追及する形態ですすむ。2事例ともに,ことばと言語に関する項目よりも,対人的相互交渉に関わる項目の方が,一部発達の順序を逆転して劣弱であった。対人的相互交渉項目は獲得されて後も変異的反応であった。心理的レベルの対人的技能にかかわる"発達の不能溝"の潜在が推定された。事例1は事例2より発達経過が良好であった。事例1は退行は認められないが,事例2には退行があった。また,事例1はオーム返し,喃語等の発声量が多いのに,事例2は少なくなっていった。事例1は事例2より「達成比」の変動が大きかった。事例1は「ボール遊び」等の対人的相互交渉が成立し,指差しが出ると,場面に対応したことばが増え,自発語を使用した要求が増加した。事例2は,指差しが出ても「ボール遊び」等が遅滞し,徐々に発声量が減少し,確実な自発語の使用は2語のみであった。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1990-03-30
著者
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