一幼児における自閉発達障害の出現
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概要
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この報告の目的は,自閉障害が発達と相互関係をもちつつ,いかに出現し変化していくかを把握することである。そのために,発達遅滞とてんかんをもつS児(女)の縦断的事例が検討された。S児の生活年齢1歳半から4歳8ヵ月の間に,7回実施された発達相談時の発達検査結果と,母親からの報告を資料とした。この間S児は,自閉児の発達段階の前段階Iから段階Iをへて段階IIに達した。自閉障害として,当初布への固執,視線が合わない,模倣がない,言葉の理解がない,身振りがない,言葉を話さない,物の扱いがパターン化している(端を持ちかざして振り眺めて喜ぶ),同軌的に部屋の中を移動する,多動,強い偏食等があった。それらは発達とともにあるものは形を変え,または改善し解消した。当初あった反復喃語と音声模倣が消え,クレーン現象を用いて人と関わる行動が出現急増し,やがて減少する,新たにカレンダー等への興味が現れる過程が見出だされた。
- 1995-03-30
著者
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