女子短大生の居住実態と住意識
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
居住実態の分析から,次のような結果が得られた。1)一貫して進んでいる核家族化,家族の小規模化,そして都市化の進展によって,老人夫婦のみの増加など,相互扶助機能が弱くなっている。家族や社会のきずなが失われつつあり,その結果家庭や社会における様々な病理的現象が生み出されている。老人夫婦のみや1人暮らし老人が増加するなかで,3世代同居や地域社会の相互扶助によって,高齢者が安心して老後の人生が送れ,他世代も高齢者の貴重な経験に基づいた助言を得られるような,現在失われつつある家庭や地域社会の機能を見直す必要がある。2)持家率の上昇,1人当り畳数の増加,住宅関連施設の向上など居住環境はよくなってはいるが,都市部を中心に狭さや価格などの問題点が残されている。3)学生の住意識形式には,現在居住している住まいの状況が深くかかわっている。住宅問題,生活環境,地域環境の重要性を認めるものが多かった。4)住生活観については住まいは休息を目的とする空間としてとらえている。家族の交流によってよりよい人間関係を作り,家族間の理解を深めることが,協力が得やすいとしている。将来の家庭経営においても家族が協力しやすい家庭づくりを考えたいとしている。5)住まいの広さ・間取り・収納スペースに不満が多い。持家の場合は住宅の広さ・間取りを重視している。借家の場合は買物・通学などの利便性が重視されている。6)住居の立地条件にあたっては周囲の環境を重視し,環境の良いところで近隣関係を大切に考えるとしている。また自然環境に恵まれ,コミュニティの充実した地域環境づくりも重要であると考えている。7)住まいは人が精神的,肉体的にやすらげる場でなければならない。快適で衛生的な屋内環境を構成する要素は日照,採光,温・湿度,空気の清浄度,通風,静かさなどである。自然の通風をよくするには,開口部の位置や組み合わせを工夫し,屋内の垂直方向の温度差を利用する方向がある。夏は通風をよくし,冬はすきま風を防ぎ,必要な換気を確保することが大切である。都市化の進展に伴い,都市住民の身近な自然も破壊されてきた。人口や事業所などの増加により緑地が減少し都市河川の水質も悪化して,緑や水といった都市住民の身近な自然が奪われつつある。自然保護に対する住民の意識も年々高まり,自然環境をめぐって開発か保護かの二者択一的な問題も提起されている。自然環境を体系的に保全するため,自然環境保全法が昭和47年に制定され,これを基本法とした自然公園法など関連する法体系により,さまざまな施策が進められてきている。都市化の進んだ地域においては,身近な自然の保全・創出を目的とした基金づくりや緑化運動のような住民参加ができるように考えられている。調査にご協力いただきました学生の皆様に厚くお礼申しあげます。なお,本研究の一部は1987年日本家政学会中国・四国支部第34回研究発表会にて発表した。
- 1988-03-30
著者
関連論文
- 島根女子短期大学生の衣生活の実態について
- 縫製作業における疲労の研究
- 島根県における主婦の衣生活調査
- タイトスカートの機能について
- 縫製作業における疲労の研究 : 第3報
- 和服に関する実態調査
- 女子短大生の居住実態と住意識
- 高齢婦人の衣生活,服装色嗜好
- 女子学生の被服行動と社会心理的特性との関係
- 被服構成のための生体計測的研究
- 女子の体型とスカートに関する研究
- 主婦の住生活における時間と空間の利用
- 住居内における接客空間に関する研究
- 和服寸法に関する研究(第2報)
- 日本の住生活についての史的考察(第1報) : 古代にみる住生活
- 縫製作業による疲労と性格類型
- 縫製作業における疲労の研究 : 第2報
- 大裁単衣長着の縫製作業時間について
- 運針作業に関する研究(第1報)
- 女袴の製作時間に関する研究
- 簡易化による被服構成の研究(第5報)
- 簡易化による被服構成の研究(第4報)
- 簡易化による被服構成の研究-4-
- 古代服装研究(第7報) : かぶりものの変遷(3)
- 被服構成に関する研究(第2報) : 大裁女単衣長着を主体として
- 古代服装研究(第6報) : かぶりものの変遷(2)
- 被服構成に関する研究(第1報) : 大裁女単衣長着を主体として
- 簡易化による被服構成の研究(第3報)
- 簡易化による被服構成の研究(第2報)
- 簡易化による被服構成の研究(第1報)
- 古代服装研究(第5報) : かぶりものの変遷(1)
- 被服構成に関する研究(第5報) : 衿肩あきの形態について-(2)
- 被服構成に関する研究(第4報) : 衿肩あきの形態について
- 古代服装研究(第4報) : 履物の研究(3)
- 古代服装研究(第3報) : 履物の研究(2)
- 古代服装研究(第2報) : 履物の研究