古代服装研究(第6報) : かぶりものの変遷(2)
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概要
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大和朝廷の勢力は5.6世紀頃から増大し用明天皇の妹の推古天皇が即位され,聖徳太子の摂政となった。皇室勢力を基礎に統一国家の理念を確立せんとされたのが太子である。太子の事業は冠位の制定で勲功に従って人々に冠を与え,冠の色の相違によって位階の上下を示すようにしたものであり,これまでの姓が原則として氏に属し,世襲を本位としたのに対し冠位は個人に属し一身限り,門閥打破,人才登庸の意義の深いものであった。しかし位を12階に分け,これに6個の名称をあたえ大小を冠した。冠は朝廷出仕の際のかぶりものであり,公家の大小の儀礼行事,神事祭礼の奉仕にも用いられた。唐制の〓頭を継承した養老の衣服令所載の頭巾と呼ぶ4脚のかぶりものから変化したものである。地質に羅(ら)・紗(しや)などの薄物を用いたので,かぶってから髻(もとどり)との当たりをやわらげるために前に巾子(こじ)とよぶ壺(つぼ)を設け,これに髻を納めてかぶり,後部の2脚で引締め,結び余りを長く垂下して燕尾(えんび)といい,これが形式化して纓(えい)となった。また他の2脚は左右にあってかぶってから頭上にとり,巾子の前方で結んだがこれも面影を伝えて上緒(あげお)と後綱(うしろづな)になった。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1973-03-28
著者
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