古代服装研究(第2報) : 履物の研究
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概要
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絵巻を考究した結果庶民階級のほとんどが裸足であり,武士でも兵卒は古から徳川期までずっと裸足であったことはまぎれもない事実である。現在の農村での生活をみても裸足は極めて多い。こうしたことを考えると履物の発達の一面に裸足の生活が気候風土に適合したものとしてずっと長く庶民の間に行われて来ていることを忘れてはならない。ヨーロッパ及び支那大陸あたりの生活に対照し,そこに民族の生成の違いと共に夏季の高温高湿という我が国の気候の特徴が履物にも影響していることを知得したのである。特異な気候と風土とはやはり民衆の間に日本特有の形態で暖国性履物を発達させて来たと思考される。しかし庶民の間にも寒国性履物も特異な用途をもって長く残されて来たことは忘れてはならない点である。現代社会といえども古今東西の流行品としての履物つまり下駄と靴の優劣論は容易なことである。洋装・和装は時代思潮の象徴であり,両者ともに日本伝統的,習慣,根底より打破ることは容易なことである。よって靴・下駄も同じく平行しながら変遷していると思考される。本研究を行なうにあたり,ご指導いただいた京都女子大学江馬務先生に対して謝意を表します。また本学の藤原モトヨ先生に懇切なご助言を賜わりました,ここに深甚の謝意を表します。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1968-03-01
著者
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