タイトスカートの機能について
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概要
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日常生活における動作を基にして,タイトスカートの機能性について各種実験を試みた。その結果を要約すると次のようである。1)衣服の下衣としてのタイトスカートは,前面では腹部,後面では臀部などの複曲面からなる腰部を覆い,下肢に添って下垂した円筒状のものであるから椅子に腰かける,前屈するなどの股関節や膝関節運動による筋肉の膨隆への適合のためには,ゆるみ分量は4〜8cm位が適当である。本実験では特に下腹と大腿部において最大値の8cmを必要とした。腰部は胴囲から腹部へ,また臀部にかけての筋肉や皮下脂肪の沈着状態によって形態的個人差が著しい。したがってシルエットの中に体型をつつみ込むためには,適度のゆるみ分量を加えることを忘れてはならない。2)タイトシルエットの場合,後中心のプリーツは,裾まわり(裾幅)寸法を補って各動作を妨げない運動量を出すためのものである。本実験では日常生活におけるタイトスカートの裾まわりは,機能面から標準体型で膝関節位置で125cm内外が適当であると判断した。3)片襞縫止り位置(高さ)は26cm内外が着用感もよく,外観上も問題がなく,機能面でもよい評価を得た。膝関節位置より10cm以上,上に襞止りがあるのが適当と思われる。深さは機能的に裾が開いた時に縫止りに力がかからないことが重要である。本実験では8cmにおいて外観,着用感,機能面で極めて効果は顕著であった。したがって縫止り位置(高さ)の約1/3前後にするのが適当であると思われる。後プリーツの形が多くの人々に着用されていることは合理的であったと推察される。タイトスカートは下肢の運動との関連が大きく,下肢の動的機能性を重視するとともに,美的要素も大いに考慮して衣服の設計を考えなければならないこともあって,着用感のよいタイトシルエットの条件は困難である。
- 1991-03-30
著者
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