ソデイカ Thysanoteuthis rhombus Troschel, 1857 の後期胚と孵化幼生
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概要
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ソデイカの浮遊卵塊から得られた孵化6目前の胚から、孵化4∿5日後の孵化幼生までの発生を観察した。孵化6目前の胚は、器官形成期にあり、ほぼStage IXの発生段階(Neaf, 1982)にあると判断された。この胚には既に多くの色素胞が形成されており、ソデイカの発生上の特徴として色素胞出現時期が他のツツイカ類に比べ早いことが判った。また、孵化個体の色素胞の数は他のツツイカ類の孵化個体に比べ顕著に多かった。第III、IV腕の発達が遅く、孵化4∿5日後の個体の腕長式は、I>II>IV>IIIであった。また、観察の結果、従来腕として認識されていたものが触腕であることが明らかとなった。孵化4∿5日後の個体の触腕は第I腕の2倍の長さに発達していたが、触腕掌部は分化しておらず、基部寄り1/3の位置に4列に13∿14個の吸盤が形成されていた。この触腕の形態および吸盤の位置は成体とは大きく異なり、ソデイカのparalarva期を定義する上での重要な形質の1つであると考えられた。
- 日本貝類学会の論文
- 1998-12-31
著者
-
土屋 光太郎
東京水産大学資源育成学科
-
瀬川 進
東京水産大学資源育成学科
-
土屋 光太郎
東京海洋大学海洋科学技術研究科無脊椎動物学研究室
-
土屋 光太郎
東京海洋大学
-
瀬川 進
東京水産大学
-
瀬川 進
東京海洋大学海洋科学技術研究科無脊椎動物学研究室
-
渡辺 久美
東京水産大学
-
安藤 和人
東京都水産試験場大島分場
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