タコの生殖における代替戦略
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概要
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伊豆諸島八丈島において, ワモンダコOctopus cyaneaの雌1尾に対し, 2尾の雄による交接行動が観察された。雌による交接を誘うディスプレイに対し, 2匹の雄が反応し, そのうちの大きい個体が交接に成功した。交接開始しばらくの後, 交接個体の反応が鈍くなると, 大型の交接雄の雌を挟んだ反対側から小型の雄が接近し, 同雌個体に交接を行った。小型の個体は, 交接行動を行うに際し, 体表突起状の白斑及び頭部外套膜状の白線状の斑紋を大型雄に比べ不顕著にし, 雌に近い体色パターンをとった。これは, 生殖行動における不利な雄の代替戦略のひとつであるスニーカーメールSneaker maleに該当する行動と考えられる。タコ類におけるスニーキング行動が実際に観察, 記録されたのは今回がはじめてと考えられるが, 八丈島のワモンダコ個体群においては, わりと観察される行動であるという。この代替戦略はタコ類が生殖に際して交接行動を行うこと, 縄張りを有するという軟体動物においては高度な習性を持つことに起因すると考えられる。
- 1997-06-30
著者
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