漏斗色素胞によるアオリイカ 3 型の判別

概要

論文の詳細を見る
南西日本沿岸域に生息するアオリイカSepioteuthis lessonianaには遺伝学的, 産卵生態学的に明らかに異なるアカイカ, シロイカ, クアイカの3型が存在することが知られている。しかしながら, これまでのところ3型には形態学的な差異が認められていないため, 分類学上どれも"アオリイカ"とされている。本研究では1992年5月から1994年11月にかけて南西日本海域7地点から採集され, アイソザイム分析から型のわかっている151個体のアオリイカについて色素胞の精密観察をおこなったところ, 漏斗に点在する色素胞の分布パターンによって3型を明確に識別できることが明らかとなった。漏斗の腹側においてアカイカ, クアイカには褐色と赤色の色素胞が見られるのに対して, シロイカは褐色の色素胞のみが見られることから識別できる。アカイカとクアイカは漏斗の背側において前者には褐色の色素胞が見られるが, 後者には見られないことからそれぞれ区別ができる。従来, 色素胞の分布パターンによる分類は孵化稚仔を中心におこなわれてきたが, 本研究では色素胞が成体標本でも分類形質として有効であり, 特に定量的な外部形態学的差異の少ない隠蔽種において有用である証左を与えた。
日本貝類学会の論文
1996-06-30

漏斗色素胞によるアオリイカ 3 型の判別

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク