鳥類ボツリヌス症に対するボツリヌスC/Dモザイクトキソイドの防御効果(細菌学)
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概要
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鳥類ボツリヌス症はClostridium botulinumC型菌の産生する毒素によって起こる神経麻痺を主徴とする疾患である.ボツリヌス症に罹患した鳥から分離したC型菌は,C型およびD型神経毒素が部分的に組み合わさったC/Dモザイク様構造を持つ神経毒素を産生することから,この神経毒素を抗原として用いたELISAでボツリヌス症に罹患したカモ類の回復期における血清中の抗毒素価を測定した.発症後2週日の血清から抗体が検出されたが,5週目の血清からは検出されず,抗体は回復期のわずかな期間にのみに出現することが示唆された.ELISAで用いた抗アイガモIgGの代わりに抗ニワトリIgGを使用した場合,鳥類の血清中から抗体を検出することが出来なかった.これらの結果から異なる科あるいは種におけるIgG間で免疫学的な性状が異なることが推測された.種々のIgGを調べたところ異なる種であっても同じ科であれば強い交差反応を示すことがわかった.C/Dモザイク神経毒素から調製したトキソイドを市販オイルワクチンと混合しアイガモに1回接種した.免疫したアイガモは致死量の毒素投与に十分耐えうる抗体産生をすることがわかったが,免疫初期の血清ではELISA抗体価の上昇と中和力価とは一致しなかった.これらの結果は,毒素に対する防御効果を判定する場合,ELISAによる抗体価よりも中和力価の方がより信頼できることを示している.しかし,ELSIAによる測定はボツリヌス症発生時の調査には実用的な方法と思われた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2006-04-25
著者
-
竹田 正人
大阪市天王寺動植物公園事務所
-
小崎 俊司
大阪府立大学農学部獣医公衆衛生
-
向本 雅郁
大阪府立大学農学部獣医免疫学講座
-
小崎 俊司
大阪府立大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
小崎 俊司
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 獣医感染症学教室
-
向本 雅郁
大阪府大・生命環境・獣医感染症
-
竹田 正人
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科感染症制御学講座
-
笠井 浩子
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科感染症制御学講座
-
鳥居 恭司
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科感染症制御学講座
-
幸田 知子
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科感染症制御学講座
-
塚本 健太郎
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科感染症制御学講座
-
向本 雅郁
大阪府立大学 農 獣医解剖
-
小崎 俊司
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
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