α-Naphthaleneacetic acid (NAA)処理による早生温州ミカン摘果の経済効果に関する研究
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概要
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1. 1968, 1969両年度において早生温州ミカン成木(宮川系)に対するNAAの処理が摘果作業におよぼす経済効果,ならびに摘果時期の繰りあげが温州ミカン幼果の生育におよぼす影響および幼果の蓄積養分の損失量の軽減におよぼす効果などについて試験をおこない,これらのことが温州ミカン収穫果実の形質および量にあたえる影響について調査した.2. NAA300ppm処理による摘果効果は, 1968年度では,残果率9%(対照無処理区16%)で, 1果あたり葉数は, 17枚(対照無処理区10枚)であった. 1969年度では,残果率11%(対照無処理区29%)で,1果あたり葉数は13枚(対照無処理区8枚)であった.3.人手によって摘果した果実の1樹あたり果数は, 1968年度がNAA処理区で850果,対照無処理区では1700果であった. 1969年度では, NAA処理区で480果,対照無処理区で1700果であった.4.人手による摘果に要した労力は, 1968年度では対照無処理区で1樹あたり, 1時間15分であったのに対して, NAA処理区はそのおよそ45%の34分であった.又1969年度では,対照無処理区樹で1樹あたり約1時間10分であったのに対して, NAA処理区はそのおよそ45%にあたる30分であった.5.供試樹の収量は, NAA処理区の収穫果数が対照無処理区のそれにくらべて, 70-75%であったにもかかわらず, NAA処理区では,対照無処理区にくらべてM以上の果実の占める割合が大きかったため,両区に差が認められなかった.6.人手による摘果によって除去した幼果(NAA処理区では手なおし摘果によって除去した幼果)は, NAA処理区で全幼果の48-53%であったのに対して,対照無処理区では60-71%に達した.7.人手による摘果で失なわれた蓄積養分の量は,全炭水化物含有量,全窒素含有量とも対照無処理区がNAA処理区の約2倍に達した.8.以上の結果, NAAによる温州ミカンの摘果は,人手による摘果の労力軽減におよぼす効果が大であるとともに,幼果の初期の発育促進,更には蓄積養分の損失量の軽減などの効果も認められ,樹勢をそこなわず,生産量をたかめることにつながることを明らかにした.
- 1970-12-31
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