膵外分泌細胞内におけるアミラーゼ,キモトリプシノーゲン,リパーゼの局在様式
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概要
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膵外分泌細胞内に含まれる分泌蛋白の局在を免疫組織学,酵素組織化学および生化学的手法によって検討した。1)免疫組織学的には凍結超薄切片またはアクリルアミド包埋法を用いて電子顕微鏡レベルでリパーゼとアミラーゼまたはアミラーゼとキモトリプシノーゲンの局在を同一切片上で同時に証明した。その結果これら三種の分泌蛋白は同一顆粒に共存することが判明した。しかしアミラーゼとキモトリプシノーゲンは分泌顆粒内部に散在的に存在するのに反し,リパーゼは分泌顆粒膜周辺に限局して存在する。2)ナフトール誘導体を基質としてジアゾ化したp-Aminophenylmercuric acetateを捕捉剤としてリパーゼとプロテアーゼの酵素組織化学的証明を試みた。プロテアーゼは分泌顆粒内部に散在的に存在するのに反してリパーゼは分泌顆粒膜部位に限局して存在した。3)膵臓より分泌顆粒を遠心分画によって集め,その顆粒を弱アルカリ性溶液で処理することによって分泌顆粒を破壊し,分泌顆粒画分と可溶性画分に分けた。そしてその両画分に含まれるリパーゼとアミラーゼの相対量を比較した。その結果アミラーゼの大部分は可溶性画分に検出されるのに反しリパーゼの多くは膜画分に認められた。4)ピロカルビン投与によって分泌を促進した際のリパーゼの局在を酵素組織化学的に検索した。陽性部位は粗面小胞体腔,ゴルジ装置,分泌顆粒膜周辺のほかに,分泌直後の顆粒膜に認められた。以上免疫組織学,酵素組織化学および生化学的手法を併用することによって膵外分泌細胞内の分泌顆粒内においてリパーゼ,アミラーゼ,キモトリプシノーゲンの三種の分泌蛋白は共存するけれども後二者は分泌顆粒内に散在的に存在するのに反し,リパーゼは分泌顆粒膜に結合した状態で存在することが判明した。
- 北里大学の論文
- 1980-10-31
著者
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