82. 羊精巣内におけるacrosomal proteaseの局在
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概要
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排卵された卵子は周囲に卵胞細胞層及び透明層の2層の保護層をもっている。これらの層は精子先体内に存在する酵素により分解される。すなわち, 卵胞細胞層はhyaluronidaseで分散され, 透明層はacrosomal proteaseで分解される。両酵素の先体内における分布状態を知ることは受精の際の精子の行動を理解する上で重要である。前回の実験で, hyaluronidaseは成熟精子の先体では全体に均一に分布する事が明らかになっている。本実験においては, hyaluronidaseとacrosomal proteaseの関係を知るため, horseradish peroxidaseで標識したtrypsin inhibitorで羊の精巣を染色し, 電子顕微鏡レベルでacrosomal proteaseの局在を検討した。その結果, acrosomal proteaseは精子頭部のacrosomal capではhyaluronidaseの存在部位と同部位に認められたが, acrosomal collarには認められなかった。acrosomal proteaseがacrosomal capにしか存在しないことは, 卵周囲で先体反応を起こした精子は同時にacrosomal proteaseも失うために受精には関与しえない事を意味し, 今回の結果は卵胞細胞層を分散する精子と受精する精子は別であろうとの見解を支持している。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1977-10-20
著者
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