市場と組織の取引コスト分析 : Barnard-Simon理論からWilliamsonのTCE分析へ(1)
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概要
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TCE (Transaction Cost Economics)分析は、Oliver E. Williamsonの主導により、「市場と組織(Markets and Hierarchies (以下M&H))」の比較制度分析を、この四半世紀にわたり展開してきたが、その特徴は研究対象の性格上、学際的研究にある。経済社会における適応形態としての「市場」は「自発的協力」に依拠し、「組織」は「誘導的協力」に依拠する。市場的適応力を重視したのは経済学着であったが、組織的適応力を重視したのは組織社会学者であった。本稿においては、Barnard-Simon理論の中から、組織的適応力を重視したBarnard (1938)を取り上げ、それをWilliamson (1995)に沿って検討した。その結果、本稿は、Saito (1980a,1980b)にも言及しつつ、Barnard理論をWilliamsonのM&H (1975)分析との対比において考察することが有効であることを指摘するとともに、Barnard理論がTCE分析における「不完全契約」という視点の展開を行うにあたり大きな示唆を与えることを指摘している。最後に、本稿は、Barnard (1948)が、「組織」を「市場」との対比において論ずる議論を展開したことを指摘し、それ---組織(分析)のみならず、それを市場との対比で比較分析を試みた点---をもって、Barnard (1948)をTCE分析の先駆的業績として位置付け可能であることを主張している。
- 北海道情報大学の論文
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