札幌市北部の潜在自然植生
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概要
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1.本研究は札幌北部地域における人為的影響による植物群落の変質を把握する目的で行い,現存植生と立地の土壌調査から原植生や潜在自然植生を推定した。2.本研究では原植生は「開拓が大規模に行われる以前の植生」,潜在自然植生は「直接的な人為的干渉が停止された時,100〜150年後に出現すると思われる立地に対応した植生」とした。3.53方形区調査の結果得られたdataから,全層の種組成([1-a]群分析)と草本層の種組成([1-b]群分析)を用いてstandsの群化を行った。4.[1-a]群分析を用いて得られた立地と顕著な対応を示す群は,低位泥炭地のハンノキ-ヤチダモ群,三角州性低地の褐色低地土や灰色低地土に成立するハルニレ-ヤチダモ群,砂丘地のカシワ,あるいはミズナラ-エゾイタヤ群,未熟火山性土に成立するミズナラ-クリ-コナラ-エゾイタヤ群などであった。5.文献資料をもとに原植生の復元を試みた。三角州性低地には嘗って湿原が広く覆い,現在より湿性の植生であったことが示された。6.立地に応じた群落の種組成や構造から潜在自然植生を推測した。低位泥炭土では,ミズナラ-エゾイタヤ林,三角州性低地ではハルニレ-ヤチダモ林,扇状地ではハルニレ-エゾイタヤ林,山麓地および丘陵地でシナノキ-エゾイタヤ-ミズナラ林,ローム台地でミズナラ-エゾイタヤ-コナラ-クリ林そして砂丘地でカシワ林およびミズナラ-エゾイタヤ林であることが示された。
- 1983-12-20
著者
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伊藤 浩司
北海道大学大学院環境科学研究科生態系管理学講座
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伊藤 浩司
北海道大学環境科学研究科
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恒屋 冬彦
北海道大学大学院環境科学研究科生態系管理学講座
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伊藤 浩司
北海道大学大学院環境科学研究科
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