花粉症の研究 : 第4報職業病としてのテンサイ花粉症

概要

論文の詳細を見る
札幌市にある日本テンサイ研究所において, テンサイ花粉に接する育種部, 栽培部研究職員23名のうちに, テンサイ花粉症13名を見出した.全例が鼻炎症状を, 11例は結膜炎を, 4例は喘息症状を示していた.その症状の発現は主に温室での花粉接触時であるが, 脱穀作業時の種子塵によつても現われる.テンサイ花粉症エキス(10^<-4>=87 PUN/ml)による皮内反応では全例が陽性を示し, その閾値は10^<-4>-10^<-7>であり, さらに眼反応で10^<-3>濃度エキスで8例, 10^<-2>で2例が陽性反応を示した.PK反応では抗体価1:5-1:625以上を示していた.発病率は56.5%と高く, 患者13例のうち, アレルギー性家族歴を有する者は23%で低い値を示した.従つて著者らはアレルギー性素因の関与の少ない, しかも多量のテンサイ花粉との接触により生じた花粉症と考え, 本症を温室という特殊環境における職業病であるとした.
日本アレルギー学会の論文
1972-03-30