気管支喘息における3β受容体刺激剤吸入の気管支拡張効果と心血管系に対する影響の比較 : Isoproterenol, Metaproterenol および Salbutamol に関する検討
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概要
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この論文の目的は, イソプロテレノール, メタプロテレノールおよびサルブタモールの3種のβ受容体刺激剤について, それらの気管支拡張効果と心血管系への影響を49名の小児期の喘息患者で比較検討することである.これら薬剤のおのおのは, ひろく一般に使用されている電動式ネブライザーにより乾燥エアゾルとして, 直接マウスピースから吸入させた.大部分の例ではイソプロテレノール1.0%, メタプロテレノール2.0%, サルブタモール0.5%の各溶液それぞれ0.3mlを1回量として用いた.気道閉塞改善効果:FEV_1, FVC および FER, における平均改善率は, 3者間で有意の差は認められなかった.ただし FEV_1, FVC の平均改善率のピークはイソプロテレノールでは吸入15分後に, またメタプロテレノールおよびサルブタモールでは30分後に認められた.各患者ごとのリスポンスはサルブタモールの場合にもっとも変動がすくなく, したがって改善の平均誤差は この薬剤でもっとも小であった.サルブタモール吸入における拡張効果の持続は, イソプロテレノールに比しきわめて長く, FEV_1 の平均改善率のピークは2時間までは明らかに維持された.同様の持続効果はメタプロテレノールにも認められたが, この場合には2時間後に多少の減少傾向がみられた.心拍と脈圧に対する影響:イソプロテレノールは, 投与5分後にこの両者で有意な増加を示し, 15分後でもその心拍数の増加は平均25であった.しかしメタプロテレノールとサルブタモールに関しては, 明らかな変動はみられなかった.イソプロテレノールは20分間隔で吸入を繰り返すと, 心拍・脈圧両者の上昇に累積効果が認められたが, 他の2者には3回連続吸入後にも格別の影響はみられなかった.これらのことから小児気管支喘息においては サルブタモールは0.9mlの多用量を用いても, 心血管系β受容体の刺激効果はおこらず, かつ0.3mlの一般用量で臨床的にじゆうぶんな気管支拡張効果をうることができると判断される.メタプロテレノールとサルブタモールの間には, この検討範囲の知見からは, 重量比による拡張効果を別にすると, 明らかな相違は認められなかった.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1971-08-30
著者
-
我妻 義則
市立札幌病院小児科
-
松本 脩三
北海道大学小児科学教室
-
三浦 良一
国立西札幌病院小児科
-
三浦 良一
国立療養所西札幌病院
-
松本 脩三
北海道大学
-
田中 洋子
北海道大学医学部小児科学教室
-
梅津 愛子
国立療養所西札幌病院小児科
-
田中 洋子
栄北小児科
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