大動脈弁位での小口径人工弁置換術施行後10年間における血行動態の変化
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概要
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大動脈弁膜症における小口径人工弁置換術 (AVR) の妥当性を10年以上の遠隔期における血行動態評価をもとに検討した。[患者, 方法] 1988年以前に手術が施行され, 現在まで合併症がなく経過している19mm〜23mm人工弁によるAVR症例64例 (AS : 27例, AR : 37例) を対象とした。なお増帽弁膜症を有するものは除外した。手術時の平均年齢は50.7歳であり, 平均体表面積は1.51m^2であった。検討方法は術前及び術後6カ月毎に心エコー検査を行い, Mモード法から左室心筋重量を求め, 術後のreduction rate (RR) を遠隔期にわたり追跡した。一方, 連続波ドプラー法から安静時並びに Dobutamine 負荷時に人工弁の通過血流速度を測定し, 心拍出量 (CO) に対する左室-大動脈圧較差 (LV-AoPG) を求めた。また, 人工弁の流出路抵抗として有効弁口面積係数 (EOAI) を血流波形の解析から算出した。術後追跡期間は120〜168カ月 (平均144カ月)であった。[結果] 各人工弁において, LV-AoPG (Y) とCO (X) は, 良好な正の相関が得られ, その勾配は19mm弁において最も急峻であった。また, これは遠隔期になるほど顕著となる傾向が認められ, 術後10年目では19mm弁でASの critical gradient である50mmHgにCOが3.7L/minで達した。術後10年目の各人工弁のEOAIは, 19mm弁で有意に低値を示したが, RRでは有意差は認められなかった。[結論] 19mm弁では心筋負荷軽減効果は術後遠隔期まで遜色なく認められたが, 術後10年目以降ではCOの増加に伴うLV-AoPGの増大が, 日常生活の範囲内でも無視できなかった。それゆえ, 19mm弁の適応症例は年齢や日常の activity などを考慮して, 選択すべきであると考えられた。
- 神戸大学の論文
- 1999-03-31
著者
-
岡田 昌義
兵庫大学
-
杉本 貴樹
兵庫県立淡路病院外科
-
杉本 貴樹
神戸大学医学部第二外科学教室
-
岡田 昌義
神戸大学大学院医学研究科外科学第2
-
岡田 昌義
兵庫大学健康科学部
-
杉本 貴樹
兵庫大学 健康科学部
-
杉本 貴樹
神戸大学医学部 第二外科
-
神吉 明子
神戸大学第二外科
-
杉本 貴樹
神戸大学大学医学部第2外科
-
神吉 明子
神戸大学大学院医学研究科外科学第2
-
岡田 昌義
神戸大学大学院医学研究科外科ii
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