福岡女子大学学生の入学時におけるCornell Medical lndex実態調査 : 過去37年間-昭和43年度〜平成16年度
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概要
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1)特定の身体的項目訴え傾向 1.喘息愁訴者は、最近の傾向として、約10人に1人の割合で顕著に示された。2.結核愁訴者は、昭和43年では、約5%の出現していたが、最近の傾向としては、みとめられなかったが、平成15年に1名の愁訴者がいたこと、今後も結核に対する指導が大切である。3.胃潰瘍・十二指腸潰瘍の愁訴者は、昭和43年から平成16年、毎年、約3%前後であった。いつの時代もストレスが大きく影響しているので、心身の健康管理を促していきたい。4.肝臓や胆のう愁訴者は、昭和43年から約3%前後出現していたが、最近の傾向としては、あまりみられなかった。医学の進歩で早期治療が可能となったと考えられる。5.ひきつけ発作(てんかん)愁訴者は、昭和43年から10年間は約1%前後と少なく、昭和54年から愁訴者が多く最近は顕著な傾向になっている。6.腎臓や膀胱愁訴者は、昭和43年から昭和58年頃は約5%前後、約9%と10人に1人の割合で顕著であった。その後減少の方向にはなったが、最近は、約3%前後、約5%前後の愁訴者がいる。十分な個別指導が必要である。2)特定の精神的項目訴え傾向 1.いつも不幸・憂うつ愁訴者は、平成7年頃から、増加傾向を示している。2.人生に希望がない愁訴者は、昭和43年から10数年約1%から約6%以上の出現であった。最近の傾向として、少し出現が増加を示している。3.自殺傾向愁訴者は、昭和43年から10数年約6%から約11%と多くの者が出現していた。最近の傾向として、約5・6%前後から8%以上と、増加を示している。4.神経症の既往愁訴者は数名であるが、昭和43年から昭和55年以前は、少し出現者が多く、最近でもその傾向がみられてきた。5.精神病院入院既往愁訴者は、毎年みられない傾向ではあるが、最近の平成12年、16年に各1名の出現であった。6.家族精神病院入院既往愁訴者は、毎年、約1・2%の変動で示しているが、最近の傾向として、若年の出現増加傾向がうかがえることは、注目していかなければならない。7.易怒性の傾向は、昭和43年から昭和56年では、約5人に1人の割合の出現で、その後減少がみられたが、最近の傾向として平成3年から平成16年の間では、約3・4人に1人の割合で顕著な特徴の一つとなった。これは現代社会のストレスを反映しているとうかがえる。また、フラストレーション耐性が弱くなっていることも考えられる。8.強迫観念愁訴者は、平成6年頃から平成16年に、約10人に1人前後の割合を示し、最近は、増加傾向を示した。9.理由のないおびえ愁訴者は、昭和43年から平成16年の間、毎年数%の出現であるが、ここ最近、若干の増加をしている。3)判別図による神経症者の判別 図16〜図48の通りである。4)CMI領域分布 表1の通りである。5)過去37年間一昭和43年度〜平成16年度一における神経症傾向 1.昭和43年から昭和49年は、約2割前後と約5人に1人前後の愁訴者で、神経症の学生は多くいた。2.昭和50年から昭和54年にかけて、約10人に1人または1.5人の割合となる。3.昭和55年から昭和60年は、愁訴者出現が減少傾向をたどる。4.昭和61年から平成9年では、少し増加傾向を示し、約10人に1人または1.5人の割合となる。5.最近の傾向として、平成10年から平成13年に向けて増加を示し6.平成14年から平成16年では、約2割と、約5人に1人の愁訴者で、神経症の学生が多くみられる傾向となったのである。このことは、昭和40年代と同じ傾向であることがいえる。浅井(1994)は、「不安は誰もが持つ、ごく普通の感情である。不安には、前もって危険を知らせ、その危険に対し心の準備をうながすというよい面がある。しかし、不安感があまりにも強く、病的になると神経症(ノイローゼ)に陥る。神経症になると、健康な人からみればとりたてて心配することでもないのに、心配しすぎて緊張し、ひどくイライラしたり、自分でも取り越し苦労だと感じながら、未来に何か不幸が起こるのではないかと動揺し、今にも不幸が起こりそうだと恐怖にかられたりする。また、精神的な面だけではなく、体の面でも、ドキドキする、冷や汗をかく、急が苦しくなる、吐き気、尿意をもよおす、手足がふるえる、目のまわりがピクピクするといった自律神経失調症状や神経緊張症状が現われてくる。従来、このような強い不安におそわれる神経症を不安神経症と呼んでいた。しかし、それ以外にも恐怖症や強迫神経症のように、不安を主な症状とする神経症があることから、これらを不安障害として、一つのグループにまとめた方がよい。WHO(世界保健機関)の国際分類では、1992年から精神障害の神経症の分類を変更し、不安障害という名称を用いることになった。そして不安障害は、不安や恐怖、強迫などを主な症状とする」と述べている。女子学生の神経症について、小林淳鏡「その症状の内容が複雑であり、苦悩も内攻しやすく、学業への影響、留年、退学、休学、自殺、日常生活、交友関係への影響、将来への発展に関する影響、人格形成における歪みなどの、重大な、時には危険な問題を起こしやすい。一般的には、入学試験という偏った重荷と、入学後の勉学負担の過重や、将来に対する不安、現在の学生生活の内包する諸問題のためと考えられる。日本の社会全体として国際交流の促進、人口構成の老齢化、高度技術社会、高学歴社会、少産少死などという社会の特徴があるために、さらに、ストレス社会のもとでは、人間そのものがストレス耐性が低くなり、人間的に偏りと脆弱性をもつ人が増えてきた。スピード化、多様化、変化の激しさ、情報化、画一化、国際化などという特性をもつ現代社会と、構造的にストレス過剰の日本社会に生きなければならない。その中で、このような学生の背景には、父親の仕事の失敗、両親の離婚の増加があり、学生は精神的苦しみ、経済的重圧をうけ、多大なストレスにさらされていることにより、精神的に強く影響をうけているのが認められる。健康科学、および心理学、教員の立場として、女子学生が、世界に通用する力ある国際人に世界市民として、心身共に健康ではつらつと喜び輝く充実した一日一日を生きていけるように、話をよく聞き、よく理解してあげながら、広く学生の中に飛び込み、人間教育に忍耐強く、誠実に携わり、学生を支え、学生のための大学教育に日々努力し、徹していかねばと痛感しているのである。Cornell Medical Indexを用いて、過去37年間、入学時における本学女子学生の健康状態を調査、把握して、教育および健康科学の学生指導、健康管理の上で、役立ててきた。近年は、学生の心身の健康問題も多様化、複雑化している。最近では、女子学生の約5人に1人の割合で神経症傾向で、多くなっている。しかし、神経症傾向の学生本人が、自ら、保健室およびカウンセリングを受ければよいのであるが、多くの学生は、自分一人で思い悩み続けているのが現状である。このことは、長年多くの学生と接してきた結果、いえることである。
- 2005-03-01
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