女子学生の保健学的研究(第5報) : 月経時における内装生理用品に対するイメージと使用状況について
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概要
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1.内装生理用品(タンポン)の18歳齢使用状況の, 昭和56年度から60年度の5年間は, 「使用している者」4.3%, 「時々使用している・ナプキンと併用している者」13.8%, 「使用したことがあるがやめた者」8.2%, 「1度も使用したことがない者」73.7%である。使用している者と併用している者も含めて5.5人に1人の割合である。特にタンポンのみを常用している者は, 25〜26人に1人の割合で, タンポン使用者は以外に少ない結果となっている。2.タンポンの使用者を, 真鍋他調査の中学・高校生と本調査を比較した場合, 中学より高校生, 高校より大学生になるに従って増加率が高く, 高校生は中学生の2倍, 大学生は中学生の3倍の高比率である。3.タンポン使用の動機としては, 便利だと思った者約6割, 人にすすめられたが約3割であり, 友人からの影響が大きいことが示された。4.タンポン使用者(A群), 時々使用している者(B群), 使用したことがあるがやめた者(C群)の群別比較をみると, 「人にすすめられた」は, A群約4割で, B群, C群より1割増である。「好奇心」では, A群よりB群, C群の方に2.5割程度多い。「便利だと思った」は, 3群とも約5〜6割である。5.タンポンを初めて使用した年齢を学齢期でみると, 小学6年0.2%, 中学期16.9%, 高校期71.5%, 大学1年11.3%である。初使用の時期は高校期の頃で, 中学期から高校期にかけて急勾配で増加している。群別では, 各群とも「高校期」で共通しているが, A群は低年齢時からタンポン使用を始めている。6.タンポンを抵抗なく使用できるまでの期間では, 使用しはじめて2カ月経過の者約6割弱, 6カ月〜1年約8割弱である。群別の顕著な特徴として, A群は初回から約半数の者が慣れ, 6カ月以上から1年で抵抗なく使用している。C群は, 約半数の者が抵抗なく使用するのに, 6カ月から1年以上を要し, その結果タンポン使用をやめている。7.タンポン初使用の際, 使用方法を知っていた者97.8%, 知らなかった者2.2%である。使用方法は, 商品の説明書, 次いで友人から知識を得ている。知識についての群差間はほとんどみられなかった。8.1日のタンポン使用回数は, 3〜5回取りかえている者が多い。顕著な例として, A群は使用回数が多い傾向を示し, 3〜6回約9割である。B群においてはA群よりも1回少ない傾向を示し, 回数不定とみられる者が表われている。9.タンポンを使用したことがあるがやめた者の理由としては, 「異物感・なじめぬ・合わぬ」「健康上悪い・不衛生」次に「痛い」である。つづいて「不快」「使用がむずかしい」「心理的抵抗感」などがあげられる。10.タンポンを1度も使用したことがない者の理由は, 4人に3人が「心理的抵抗感がある」と答え, 次に「弊害があると教えられた」である。11.タンポンを知った動機としては, 「テレビ・ラジオの宣伝」が全体の5割で, 2人に1人の割合である。次に「書籍・雑誌」および「友人」からの情報となっている。タンポンを知った動機の全体的な傾向として, 書籍, 雑誌, 友人からの影響が減少している。情報源として特に, テレビ・ラジオの宣伝および先生, 母親, スライドや映画などの教育面の方に移行していることが顕著である。12.タンポン使用経験者の感想〈良いイメージ〉は, 「活動しやすい」約5割以上で2人に1人, 「スポーツ・入浴・水泳も心配なくできる」と「使用感がない」は約4割で, 次に「もれやずれを心配しなくてもよい」「取りかえ回数が少なくてよい」「下着の汚れが少ない」が約3割前後で, 3人に1人である。次いで「月経のわずらわしさから解放される」「携帯に便利である」などである。13.〈悪いイメージ〉としては, 「量の多い時そとへもれるおそれがある」3割以上で, 3人に1人がそのように考えている。次に「挿入時に苦痛を感じる」約2.5割で4人に1人, 「取り出す時に苦痛を感じる」「取りかえ用のヒモが気になる」「手が汚れるので嫌だ」「挿入の姿勢がむずかしい」「異物感があり不快である」は約1.5割〜2割である。14.タンポン使用に対する今後の考え方として, 「使用したいと思う」「必要であれば使いたい」などの積極派は約3割, これに対して「使用したいと思わない」「未婚の間は使用しない」が7割以上と否定的である。15.タンポンの使用に対する現在と将来の考え方の動向をみると, 肯定的な考え方は現在17.8%, 将来28.4%で約1割増である。否定的な考え方は現在82.2%, 将来70.9%と約1割減である。今後の動向としては, 「タンポン使用」の方向へむかう兆しがある。
- 1989-01-25
著者
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