青少年における顎関節症状の疫学研究 : 1.診査方法と再現性

概要

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青少年における顎関節症の疫学的調査を行うにあたり,まず,その各症状の診査法を設定し,これを再現性の面から検討した。診査項目は,最大開口度の測定ならびに開閉口時における平滑性欠如,クリック音,顎偏位,顎関節部の圧痛,咀嚼筋の圧痛,顎運動痛および開口制限の検出とした。これらの8項目について3診査者における診査者間ならびに診査者内変動を評価した。その方法は,最大開口度測定では3診査者間の最大差異ならびに2回の診査者内差異,他の7診査項目では,一致率,検出率ならびにCohen's Kappa値によった。その結果,開閉口時における平滑性欠如の項目は,診査者間ならびに診査者内変動が大きく,再現性の面から信頼性が低かったので診査項目からは除外するのが適当と考えられた。他の7項目は再現性が高く顎関節症状の疫学調査の診査項目として有用であることが示唆された。しかし,その変動の中には明らかな診査者の過誤も含まれており,キャリブレーション・トレーニング等により変動を小さくする必要性があった。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1996-04-30