大腿骨頸部骨折患者の自宅退院後の活動性

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大腿骨頸部骨折患者の退院後の活動状況を把握するために電話による調査を行った。対象は昭和61年4月から63年6月までに当センターに入院し, 理学療法を施行後T字杖による歩行を獲得して自宅退院した大腿骨頸部骨折症例である。有効回答数は40例, 調査時の平均年齢は80.6±6.8歳, 退院から調査までの期間は平均414日であった。調査項目は1) 歩行能力に関するもの, 2) 身の回り動作に関するもの, 3) 股関節の痛み, 4) 転倒経験, 5) 活動性に関するものとした。その結果, 歩行は屋内が100%, 屋外は80%の症例が自立していた。又, 身の回り動作の自立度も高く, 77.5%の症例は排泄・更衣・入浴の全てのADLが自立していた。活動範囲では, 約30%の症例が受傷前より低下していた。低下要因のひとつに交通機関の利用能力が関係していると思われた。しかし全体では受傷前とほぼ同率の77.5%が退院後も屋外レベルの活動性を維持していた。危惧されるのは転倒で退院後平均414日の間に約1/5の症例は1回以上の転倒を経験していた。ADLが高いにも拘らず活動範囲が狭くなっているのは転倒・再骨折を回避しようとするためでもあろう。杖歩行レベルで退院出来たケースに対しては, 転倒による再骨折を予防するための家庭内の環境整備と加齢に即したADL上の工夫・配慮が必要と思われた。
社団法人日本理学療法士協会の論文
1990-07-10

大腿骨頸部骨折患者の自宅退院後の活動性

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