畑土壌におけるメトラクロールの残留形態と殺草活性

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大豆播種直後に施用したメトラクロール[2-chloro-2'-ethyl-N-(2-methoxy-1-methyl-ethyl)-6'-methylacetanilide]の土壌中の残留を水可溶態および水不溶態とに分けて測定し殺草活性との関連を調べた。土壌中の水不溶態メトラクロール量は1990年と1991年で変動したが(Fig.2),水可溶態メトラクロール量は降雨による影響が小さく(Fig.1),それは降水量の差によると考えられた(Table 1)。生土壌容積あたりのメトラクロール総量(水不溶態および水可溶態メトラクロールの和)の半減期は1990年では40日〜60日,1991年では4日から日であった。しかしながら水可溶態メトラクロールの半減期は1990年では6日〜12日,1991年では3日であり総量の半減期に比べ,年次間の変動がきわめて小さかった。メトラクロールの土壌施用後,定期的に採種した土壌の殺草活性を調べた。1990年および1991年の水可溶態メトラクロール濃度と殺草活性との相関係数はともに高く,回帰係数も同様の値を示した。(1990 : Y=29.2545-20.4875 In X (γ=-0.8941^<**>), 1991 : Y=26.7149-21.8313 In X (γ=-0.9377^<**^gt;))。しかし,水不溶態メトラクロール濃度は,1991年の場合には殺草性との相関係数は高かったが,1990年は相関係数は低い値を示し,また両年の回帰係数は著しく異なっていた。(1990 : Y=61.2119-15.5089 In X (γ=0.3890), 1991 : Y=59.0330-36.6421 In X (γ=-0.9550^<**^gt;))(Fig. 3)。メトラクロールを処理した生土壌と水可溶態メトラクロール除去土壌との殺草性を比べた結果,前者の土壌では1.8kg ai/haの場合には30日後でも活性を示したが,後者の土壌は処理当日および12日後の場合でも殺草活性は生土壌に比べて著しく劣り,30日以降では殆ど殺草性を示さなかった(Fig. 4)。以上の結果から,土壌処理したメトラクロールの殺草活性は土壌中における本剤の総量ではなく,水可溶態メトラクロール濃度に依存していることが確かめられた。また,土壌中における本剤の水可溶態および水不溶態量は降水量によって変動するが,土壌水分中のメトラクロール濃度の変動は小さいので,降水量が異なっても殺草性は,殆ど変化しないものと思われる。
日本雑草学会の論文
1993-12-22

畑土壌におけるメトラクロールの残留形態と殺草活性

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