馬における酢酸フレカイニドの適正投与量および心房細動に対する有効性の検討

概要

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酢酸フレカイニドの安全量を5頭の供試馬に対し1%溶液を投与速度0.2mg/kg/minで1, 2, 3mg/kgを投与して検討した.投与後, 一般状態, ECG, 血液を採材し, ECGから心拍数, PR, QRSおよびQT間隔を測定した.3mg/kg群では, 5頭中3頭に投与終了後から5〜15分間に, 深呼吸や焦燥感が認められた.心拍数はすべての群で変化はみられなかったが, QRSおよびQT間隔は投与量依存性に延長した.血中フレカイニド濃度は, 投与終了時に最高血中濃度を示し, 1, 2および3mg/kg群においてそれぞれ1, 316±358, 1, 904±314および2, 251±387ng/mlであった.次に, 誘発性心房細動に対する有効性を確認するため, 6頭の供試馬に対し右房ペーシングにより心房細動を誘発させ, 1%溶液を投与速度0.2mg/kg/minで除細動するまで投与した.全例の誘発性心房細動はフレカイニドの投与により除細動された.必要投与量は1.4±0.63mg/kgであり, 除細動に要した時間は7±3.15分であった.また, 除細動時の血中濃度は, 1, 303±566ng/mlであった.これらのことから, フレカイニドは馬の心房細動に対して安全かつ有効な抗不整脈薬であり, その適正投与量は1〜2mg/kgであると考えられた.
社団法人日本獣医学会の論文
2000-07-25