馬のセボフルランおよびイソフルラン維持麻酔期における心血管系の経時的変化

概要

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馬におけるセボフルラン (S群) の臨床応用への基礎データを得る目的で, 維持麻酔期 (180分, 1.2MAC) における心血管系指標の経時的変化をイソフルラン (I群) と比較した. 心拍数は両群共に概ね30 beats/minを示し, 群間および経時的変化は認められなかった. 平均動脈圧 (MAP) は, 両群ともに有意な経時的増加を示したが, 群間に有意差は認められなかった. 心係数 (CI) は, S群では経時的変化を示さなかったが, I群では経時的な増加傾向を示し, 群間には有意差が認められた. 全身血管抵抗 (SVR) は, 両群共に有意な経時的増加が認められたが, S群の増加程度はI群を上回り, 群間には有意差が認められた. 心収縮力指標であるPEP/ETに群間の有意差は認められなかったが, I群では駆出時間 (ET) の延長により経時的低下を示した. 以上のことから, I群MAPの増加はSVRの増加によるものだけでなく, PEP/BTの低下, すなわち心収縮力増加に伴う1回拍出量の増加をも反映している一方で, S群MAPの経時的増加はSVRの増加を反映し, CIの増加を伴わないことが明らかとなった.
社団法人日本獣医学会の論文
2001-05-25