ウサギおよび飼育環境からのPasteurella multocidaの分離とその諸性状
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概要
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動物実験施設および生産コロニーで飼育されているウサギ合計1,147例の鼻腔あるいは飼育環境からPasteurella multocidaの分離を試み, 分離菌株について種々の性状を検討した. 動物実験施設のウサギ668例中199例 (29.8%) より本菌が分離された. このうち, 本菌のモニタリングを実施している施設における分離率は0.9% (2/229) であったが, 実施していない施設では44.9% (197/439) と高かった. 生産コロニーのウサギでは, 479例中1例から本菌が分離された. また, 空中, 飼育室の床, 水管, ケージ内面の材料, 合計126例中39例 (31.0%) から本菌が分離された. 調べた分離菌, 合計40株 (ウサギ由来38株および環境由来2株) は莢膜を有し, 弱い螢光を呈するムコイド型の集落を形成した. また, これらの菌株は, ほぼ同一の生物学的・生化学的性状を示した. さらに, これらはゲル拡散沈降反応で共通の沈降線を示し, クリンダマイシンを除く11種類の抗生物質に対して感受性を示した. マウスに対する毒力は弱かった. ウサギ由来株と環境由来株の性状に差は認められなかった. 以上の成績より, ほぼ同一の性状を有するP. multocidaが我が国におけるスナッフル (rhinitis) の主要な原因であることが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1990-10-15
著者
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