鶏の腸管におけるSalmonella serovar typhimuriumの侵入に及ぼすEimeria maxima感染の影響
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概要
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Eimeria maximaが感染した鶏の腸管におけるサルモネラの侵入の様相を調べた. E. maxima感染鶏および非感染鶏を麻酔し,小腸中央部に設けたループにSalmonella serovar typhimurium(S. typhimurium)1.6-4.0x10^5CFUを注入し,血中,脾,肝への移行を検査した. 各材料からのS. typhimuriumの検出率は非感染対照鶏の小腸ループの場合よりも高く,とくにE. maxima投与後10日の脾で著明であった. 一方,コクシジウムに感染していない鶏の小腸ループあるいは結紮した盲腸にS. typhimuriumを注入した場介の菌の移行は,小腸ループの方が高く,脾での検出頻度には有意差がみられた. つぎに,E. maxima投与後10日の鶏の小腸ループに,S. typhimurium 1.8-8.4x10^7CFU を注入して経時的に心血,脾,肝での菌数を測定した. 脾の菌数は,E. maxima感染鶏,非感染鶏ともに肝や血中よりも高く,注入後3時間まで平均約10^2/gの菌数を示した. 肝では,注入後30分にE. maxima感染鶏に比べて有意に高い菌数を示した. 心血では,E. maxima感染鶏から少ないながら菌が検出されたが,非感染鶏では注入後2時間まで検出されなかった. 以上の成績から,鶏では結紮した盲腸よりも小腸ループからの方がサルモネラは浸入しやすく,E. maxima感染はこれを助長することがわかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1988-04-15
著者
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学生命環境科学研究科高度医療学講座獣医内科学教室
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学農学部家畜内科学教室
-
深田 恒夫
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
-
荒川 皓
大阪府立大学農学部獣医内科学講座
-
山元 美奈子
大阪府立大学農学部家畜内科学教室
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学農学部獣医学科
-
荒川 皓
大阪府立大学農学部家畜解剖学教室
-
深田 恒夫
大阪府立大学
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
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