イヌ外耳炎治療薬としてのMalassezia pachydermatisに対するβ-thujaplicinの効果(内科学)
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概要
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Malassezia pachydermatisに対するβ-thujaplicinの効果を調べるため, 外耳炎を含むイヌの耳道から分離した51株について薬剤感受性試験を行った.比較のために, 臨床現場でよく用いられている抗真菌薬であるnystatin, ketoconazole, terbinafine-HClに対する感受性試験も同時に行なった.その結果, MIC_<50>は, nystatinで3.13μg/ml, ketoconazoleで0.016μg/ml, terbinafine-HCIで1.56μg/mlであった.したがってβ-thujaplicinのM. pachydermatisに対する抗真菌作用は既存の抗真菌薬と比べて同等と考えられる.今回検査した51株のなかには薬剤耐性をもつM. pachydermatisは存在しなかった.M. pachydermatisの10株を用い, β-thujaplicin, nystatin, ketoconazole, terbinafine-HClのMIC付近の濃度で30代継代して各薬剤に対する耐性獲得試験を実施した結果, M. pachydermatisはketoconazole, terbinafine-HClに対して耐性を獲得する可能性があるが, β-thujaplicin, nystatinに対する耐性を獲得しにくいことが示された.特にβ-thujaplicinはMIC_<50>が変化せず, 外耳炎治療のために持続投与しても耐性株が出現する可能性は低いと考えられた.また, β-thujaplicinは消炎・消臭作用があり安価で, 食品に添加されるほど安全性が高いことから, イヌの外耳炎治療薬として利用可能であると判断された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2005-12-25
著者
-
阿部 仁一郎
大阪市立環境科学研究所微生物保健課
-
谷 浩行
大阪府立大学生命環境科学研究科高度医療学講座獣医内科学教室
-
笹井 和美
大阪府立大学生命環境科学研究科高度医療学講座獣医内科学教室
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学生命環境科学研究科高度医療学講座獣医内科学教室
-
笹井 和美
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
-
笹井 和美
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻獣医内科学研究室
-
輪田 真理
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科獣医臨床科学分野
-
中埜 康幸
大阪府立大学生命環境科学研究科獣医臨床科学分野
-
中埜 康幸
大阪府立大学生命環境科学研究科獣医臨床科学分野:なかの動物病院
-
阿部 仁一郎
大阪市立環境科学研究所
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
-
谷 浩行
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科
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