犬の消化管内細菌叢に関する研究 : II. 出生後の子犬の糞便内細菌叢について
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概要
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3頭の母犬から自然分娩によって出生した子犬9頭について, それらの糞便内細菌叢を出生直後から継続的に検査した. その成績を要約すると, 次のとおりである. 1. 細菌が糞便内に最初に出現したのは, 出生の6時間後である. その菌種はStaphylococcus, StreptococcusおよびEnterobacteriaceacであった. それに次いでClostridiumが早期に出現した. LactobacillusおよびBactcroidesの出現時期は, 個体によってかなりの差が見られた. 2. 出生後24時間において, 総生菌数は平均10^<9.3>であり, すでに成犬と同じレベルに達していた. この時期の優勢菌種は, Streptococcus, EnterobacteriaceaeおよびClostridiumであった. 出生後14日までは, StreptococcusとEnterobacteriaceaeが優勢であった. 3. 出生後14日から35日までは, Streptococcus, Enterobacteriaceae, Bifidobacterium, Bacteroidesなどが菌叢を構成したが, 各菌種の菌数の増減が著しいので, 最優勢菌種は明らかではなかった. 4. 出生後35日からLactobacillusの菌数が増加し, これとBifidobacterium, Streptococcus, Enterobacteriaceae, ClostridiumおよびBacteroidesが優勢菌叢を構成するようになった. 出生後42日からは, これらの菌数がかなり安定した推移を示し, 子犬の菌叢はいわゆる成犬の菌叢と一致した. 5. Staphylococcusは出生後早期に出現するものの, その菌数は少なく, 真菌と同様に菌叢の主要構成菌種にはならなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1976-10-25
著者
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学生命環境科学研究科高度医療学講座獣医内科学教室
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馬場 栄一郎
大阪府立大学農学部家畜内科学教室
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松本 治康
大阪市大
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石川 尚明
藤沢薬品工業株式会社持薬部
-
松本 治康
大阪府立大学農学部家畜内科学教室
-
甫立 八洲
厚生省横浜検疫所
-
馬場 栄一郎
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
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