Nested Polymerase Chain Reaction (nested PCR)法を用いた動物糞便および食肉からのエンテロトキシン産生ウェルシュ菌の検出法
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概要
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動物糞便および食肉からエンテロトキシン産生ウェルシュ菌を検出するために, 検体の増菌培養とnested PCR法の組み合わせによる迅速で感度の高い検出法について検討した. ウェルシュ菌のエンテロトキシン(CPE)産生遺伝子塩基配列に相補的な2組の伸長用プライマーペアを使用しnested PCRを実施した. 第一のプライマーペアにより425bpのDNAが増幅され, 第二のプライマーペアにより, 第一回目のPCRにより増幅されたDNA増幅領域(425bp)の内側の199bpのDNAが増幅された. まず, CPE産生ウェルシュ菌の純培養株についてnested PCR法とsingle PCR法の感度を比較したところ, nested PCR法はsingle PCR法より約1,000倍高感度であった. 次に, 検体の増菌培養とnested PCR法の組合せにより, 動物糞便または食肉からのCPE産生ウェルシュ菌の検出を試みたところ, 検体1g当り10個以下となるように添加したCPE産生ウェルシュ菌を22時間から26時間で検出することができた. この方法を用いて, と畜場内で採取した牛糞便, 豚糞便, 牛肉および豚肉, 各10検体のCPE産生ウェルシュ菌の汚染状況を調査したところ, 牛糞便の1検体(10%)が陽性となり, このPCR増幅産物は制限酵素の切断パターンからCPE産生遺伝子の断片であることが確認された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1996-03-25
著者
-
仁科 徳啓
東海大学短期大学部
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久保 周一郎
日本大学農獣医学部
-
久保 周一郎
日本大学農獣医学部獣医生理化学研究室
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仁科 徳啓
静岡県西部食肉衛生検査所
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二輪 憲永
静岡県西部食肉衛生検査所
-
藤倉 幸
静岡県西部食肉衛生検査所
-
仁科 徳啓
中部衛生検査セ
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