いわゆる義歯性線維腫の臨床的ならびに病理組織学的検討

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
臨床において,ことに総義歯患者では,その対象が主に高齢者であり,老化による粘膜,顎骨などの耐性変化を伴うため,義歯装着時の適合状態を長期間にわたって維持することは困難なこととされている。義歯はそのような状態の組織上で不快感を伴うことなく装着されていることが多い。その結果,慢性的な刺激が静かに進行して組織の線維性の反応をひき起こすことがある。このような口腔粘膜の過形成組織がいわゆる義歯性線維腫と呼ばれている。一般的な治療法として腫瘤が大きければ外科的に切除を行い,腫瘤が小さければ軟性裏装材,あるいは治療用裏装材を使用することが有効であるとされている。そこで,本研究はいわゆる義歯性線維腫の発育過程(症状自覚から来院までの期間)における病理組織像の比較検討を行い,原因発生からの期間が義歯性線維腫の治療法に関連があることを認めた。このことにより義歯性線維腫に対する画一的な治療法よりも一歩前進して,その処置を考える必要があると思われる。
日本補綴歯科学会の論文
1985-12-01

著者

関連論文

もっと見る

スポンサーリンク