グァテマラにおける Simulium ochraceum の分布に関する地質・地形学的研究
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概要
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グァテマラのオンコセルカ症流行地で, 主要媒介種であるSimulium ochraceumの発生源の分布を調査し, 地質および地形との関係を検討した。調査面積477(km)^2内で計246本(144.4km)の不断水流が発見もしくは確認され, うち119本(48.4%) 27.8km (19.3%)でS. ochraceumの発生が認められた。S. ochraceum幼虫は主として古い不透水性の岩に分布していた。これに対して新しい火山岩は透水性が高く, 不断水流を保持しないため, S. ochraceumの発生に不適だが, 不透水性岩の上に位置した時, 地下水の供給源として重要になる。沖積地では水流密度が高かったが, これらの水流ではまったくS. ochraceumの発生が見られなかった。第三紀泥流・溶岩地帯はS. ochraceumの発生源を最も多く有し, かつオンコセルカ症流行地とも一致した。この地帯(77(km)^2)にある計1469本の谷セグメントを踏査した結果, 203本(13.8%)が不断水流を持ち, このうち108本(53.2%)がS. ochraceumの発生源となっていた。谷次数が高くなる下流ほど, 谷セグメントが不断水流を持つ率が高くなったが, それらの水流がS. ochraceumを発生させる率は逆に低くなった。S. ochraceumの分布は, 主として源流の湧泉から下流1km以内の谷次数の低い谷セグメントに多く見られた。湧泉は主として海抜900m, 1100m, 1300-1460mの3段階の高度に沿って, ほぼ水平に分布していた。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1984-06-15
著者
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山形 洋一
JICA Senior Advisor of JICA
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岡沢 孝雄
(現)佐賀医科大学微生物学教室
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MOLINA Pedro
Laboratorio de Investigacion Cientifica para la Enfermedad de Robles (Oncocercosis) SNEM
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Molina Pedro
Laboratorio De Investigacion Cientifica Para Control De La Oncocercosis
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