東京で採集したセンチニクバエの休眠蛹の生存率に及ぼす低温期間
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概要
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センチニクバエの休眠蛹は20℃, 短日の条件下で成虫, その幼虫を飼育すると得られる。東京で採集したセンチニクバエの休眠蛹を20℃で2ヶ月間置きその後一定の期間低温(4℃)に置いた。その後27℃に移し休眠蛹が覚醒し成虫羽化までに要した日数, 雌雄の確認, 及び生存率を羽化率より検討した。その結果羽化までの日数は低温期間の長さによって変わることが明らかになった。このハエの休眠覚醒に最適な低温期間は3ヶ月で14日後から10日間の間で89%が羽化した。しかしそれ以上低温期間が長引くと羽化率が低下し7ヶ月で13%, 8ヶ月以上ではそれが0%になった。東京の10月, 11月は短日で平均気温が16℃から13℃あり, その後12月, 1月, 2月と5℃を割る低温が続く。3月になると平均気温が5℃を越えるようになる。4月, 5月と気温が上昇し実際ニクバエが野外で見られるようになる。得られた実験結果は, 今回使用した東京産の休眠するセンチニクバエが東京の環境に適応していることを示していると思われる。またこれらの実験結果からセンチニクバエの北限についても考察した。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1999-06-15
著者
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