イヨシロオビアブ雌成虫から抽出した皮膚反応活性物質について
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概要
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本論文はイヨシロオビアブ雌虫体から抽出した皮膚反応活性を示す物質について述べたものである。その概要は次のとおりである。1.虫体の胸部および腹部から, 著しいヒト皮膚反応を起す物質を抽出したが, 両活性物質は, 各型のセファデックスによる分画およびイオン交換セファデックスによる精製過程において, 同様の態度を示した。2.これら活性物質は通常280mμにおける吸収が260mμのそれよりやや高く, 加熱あるいはアセトン処理などに対する態度から, 蛋白質性のものと思われるが, 各型のセファデックスによる分画では, 分子の大きさという点で2大別される(分子量20万以上のものと5∿10万の範囲のもの)。またイオン交換セファデックスによる精製では, 5つの分画にわたって活性が分布していた。したがって, 活性には虫体成分のある単一な物質というより, いくつかの成分が関与しているものと考えられる。3.粗抽出液はマウスおよび哺乳マウスに対して毒性を示さず, 皮膚反応活性は, それ自身の毒性にもとずくものではなく, 他の昆虫の刺咬の場合のように, アレルギー性のものと思われる。4.腹部粗抽出液と家兎免疫血清(腹部粗抽出液をG-25で分画した最初のピークを免疫原として使用)との間にはゲル内沈降反応において少くとも2本の沈降線が認められ, そのうちの主たる抗体側の線は皮膚反応と関係がないと思われたが, 抗原側に見られる薄い線と皮膚反応活性の関連性については否定できなかった。5.粗抽出液中の溶血作用を示す物質および着色物質は, ヒト皮膚反応活性と無関係であった。
- 日本衛生動物学会の論文
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