日本藍藻類第三
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概要
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本報告は別府温泉群に産する73種の藍藻中66種について記した.他の7種は既述のものなるを以てここには省略する.別府温泉の藍藻類に關する概觀及び73の種名については次の機會に發表することとした.尚此調査に際して熱心な援助を與へられたる別府中學校教諭阪下榮作氏に深謝する. Microcystis. 63. M. thermalis sp. nov. 細胞は主に球形,徑3-4μ,群体は概ね球形で多數集合して相當堅き團塊をなす.濃藍緑色を呈して温泉中に沈生す.Pseudovacuoles を有せず.龜川温泉にて阪下教諭の採集せるもの. Aphanocapsa. 64. A. thermalis BRUGG. 群塊は膠質状無定形,細胞は球形乃至楕圓體で淡藍青色.温泉産なれど詳細なる文獻を缺く. Aphanothece. 65. A. bullosa (MENEGH.) RAB. 群塊は軟き膠質状,球形又は不定形,徑15cm.に達することあり.細胞は長楕圓形,幅3,5-5μ,長さ11μまで.温泉特有の種類で,カムチャツカ,伊太利,アフリカに産す.66. A. Castagnei (BREB.) RAB. 群體は不定形,細胞は楕圓體乃至圓〓形,幅2-3.5μ,長さ4-8μ,密に配列す.本種は北歐の淡水より多く報告されてゐる. Gloeocapsa. 67. G. arenaria (HASS.) RAB. 群塊は柔き膠質状,オリーブ色,群體は徑40μ許り,粘鞘は厚く無色,不明瞭なる層をなす.鑛泉並びに温泉に産す.68. G. polydermatica KUTZ. 群塊は膠質状,黄緑色.細胞は徑3-4.5μ,粘鞘は無色で極めて厚く非常に明瞭なる數多の層を成す.層の發達貧弱なる個体は G. montana に酷似す.温泉によつて潤ふ濕潤岩石上に産す.69. G. gelatinosa KUTZ. 群塊は膠質状,群體の大さは徑25μ以内,粘鞘は薄く老成せるものにては不明瞭ながら層を作る.專ら温泉産.70. G. dermochroa NAG. 帶緑灰色の團塊をなす.細胞は徑1.5-3μ,群體は徑約50μ,相集りて大塊を成す.粘鞘は殆ど層を成さず,若きものは無色なれども老成すれば褐色を呈す.本種は G. punctata NAG. の成熟體と認めらる.濕潤なる岩石上にも産す.
- 日本植物分類学会の論文
- 1938-09-30
著者
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