タイ北部より導入したサヤダイコン(Raphanus sativus)のわが国における生育特性と抽苔・開花に対する低温要求性
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概要
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タイ北部でパッキフッド(Pakki-hood)と呼称されるサヤダイコンの在来種を導入し, わが国における生育特性を調査するとともに, 抽苔, 開花に対する低温要求性に関して日本のダイコン品種との比較を行った.1993年から1994年にパッキフッドを播種期を変えて露地栽培した結果, 9月下旬の播種では開花したが着莢までに至らず, 10月播種では抽苔のみ, さらに11月播種では抽苔さえ観察されなかった.9月から11月の播種では, いずれも低温のため若莢の収穫に結びつくような生育が認められなかった.また, 12月から1月の播種では発芽しなかった.2月中旬以降の播種では, 若莢の収穫が可能であったが, 抽苔・開花までに要する期間が短く, 充分な分枝数が確保できずに収量(個体当たり分枝重)は劣った.4月以降の播種では抽苔後の高温により葉は黄化し, 収穫にまで至らなかった.一方, トンネル栽培した結果では, 12月以降の冬季栽培が可能であった.この場合は, 12月以降から翌春3月にかけて播種期が早いほど抽苔・開花までの日数は長くなり, 分枝数が多く, 高い収量が得られることが示された.日本のダイコン品種は抽苔・開花に低温が必要であり, 低温処理期間が長いほど早く開花する傾向があるが, パッキフッドは低温処理期間の長さに関係なく, すべての個体で播種後40日前後に抽苔し, 生育を阻害するような低温に遭遇しなければ, その約1週間後に開花が観察された.すなわち, パッキフッドの抽苔・開花に対する低温要求性は日本のダイコン品種とは大きく異なり, 低温を要求しないことが示された.
- 1996-06-01
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