いもち病菌が培地に分泌するイネプロトプラストの破壊活性を有する成分の性質
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概要
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いもち病菌は培地にイネプロトプラストの破壊を誘導する成分を分泌する。FAD の取り込み能を有する細胞を計測し, プロトプラスト生存率を低下させる程度を活性の指標にして培養濾液の活性成分の性質を検討した。培養濾液を希釈すると, 活性は希釈率の対数に比例して直線的に低下した。致死活性の主要な成分は60℃以上, 30分の熱処理, あるいは10mM NaOH, 24時間の処理により失活し, エタノール, アセトン, 10%TCA, 硫安の 50-75%飽和溶液で沈澱することからタンパク質性の物質と考えられた。TCA 沈澱成分で4時間処理すると, プロトプラストの84%が破壊された。この活性因子はイオン交換ゲル (DEAE-Toyopearl) に吸着され, 約0.1M のNaCl で他のタンパク質とともに溶出された。10%TCA 沈澱部はゲル濾過により 4つのピークに分けられ, 約30kDaのタンパク質のピークに致死活性の大部分が認められた。粗培養濾液はイネと同様に, コムギ, ライムギのプロトプラストに対しても破壊活性を示したが, オオムギや双子葉植物(ダイズ, キャベツ, カーネーション)に対する活性は低かった。イネプロトプラストに対しては非親和性菌との組合せで生存率が低い傾向が認められた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1992-04-25
著者
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