大阪湾の泉州湾岸地域の地下地盤について
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概要
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大阪湾の泉州湾岸地域(岸和田から泉佐野にかけての地域)において,阪神高速道路湾岸線建設のために掘削された15本のボーリング試料を用いて,試料から産出した微化石や火山ガラスを関西国際空港海底地盤の研究において開発した分析方法と同様の方法で分析し,この地域における地下地盤の層序を明らかにし,各ボーリングの対比を行なった。その結果,この地域の地下地盤では,次のことが明らかになった。1)この地域の地盤は北へ緩傾斜した単斜構造をなしている。2)沖積層は粗い堆積物からなり,沖積粘土がほとんど存在しない。3)岸和田地域では沖積層のすぐ下位にMa11層が,泉佐野,佐野漁港,前島地域においてはMa9層が存在し,上部洪積層の一部が欠如している。4)前島地域においては,関西国際空港海底地盤と同様にMa3層とその上位の地層との間に不整合関係が見られる。5)岸和田地域,泉佐野地域および佐野漁港地域でも,不整合関係が見られるものの上位の粘土層の最下部層がMa5?と考えられ海成粘土層が数枚多い。6)関西国際空港海底地盤において認められた一見珪藻土を思わせる淡水性珪藻化石が多産することで設定されたメロシラ層がこの地域でも確認でき,この時期に大阪湾が湖であったことを思わせる。The authors have been carring out the investigation of staratigraphy and biostratigraphy in the submarine strata at Osaka Bay.In Osaka Bay,several thick layers of clay are deposited and these clay layers have been indentified as marine deposit.Between the clay layers,sand and gravel layers with various thickness exist.In Osaka Bay area,These marine clay layers are often called with a name of “Ma”.The clay layers have been numbered from“Ma13”.The stratigraphy of the upper seabed materials was determined from the avaiable geological studies on these materials,and most of the studies were based on the micro-fossil analysis.The stratigraphy thus established is identical to one as proposed by Nakaseko(1984)for the construction site of Kansai Intenational Airport.In order to correlate the seabed deposits in the Sensyu Coastal Area of Osaka Bay with the seabeds of Kansai International Airport,biostratigraphical study has been done about the drilling samples excavated for constraction of Hanshin High Way.A great number of samples were taken from 15 bore-holes,and lithology of sediments,microfossils(nannplankton,foraminifers,ostracods,diatoms and silico-flagellates)as well as volcanic ashes have been studies in detail.Seabed deposits in the Sensyu coastal Area in Osaka Bay constitute following characteristic gelogical features,1)Alluvial deposits in this area consit of coase sediments and alluvial clay(Ma13)do not existent scarcely.2)Uppermost pleistocene clay(Ma12)locally called“upper diluvium clay”lack entirely.3)submarine strata slightly dip north.4)The relationship between upper layers and lower layers is inferred to be an uncomformity similarly submarine strata at the Kansai International Airport.
著者
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菅野 耕三
大阪教育大学
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中世古 幸次郎
地盤地質研究室
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中世古 幸次郎
神戸山手女子大学
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平野 裕三
オキココーポレーション
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菅野 耕三
大阪教育大学教員養成課程理科教育講座
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菅野 耕作
大阪教育大学
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