ツツハナバチ属によるりんごのポリネーションに関する研究 : (II) ポリネーターとしてのツツハナバチ属利用の特性と問題点
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概要
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本論文中ではりんごのポリネーターとしてツツハナバチ類の利用を計るに際して問題となる点について述べた.1. 訪花性.りんごの開花期間中にこれと競争となる開花植物(例えばナタネ)がなければツツハナバチ類(マメコバチ, オオツツハナバチ)はりんごの花に誘致できる.2. 天敵.長野県, 青森県で調査した結果(第1表, 第2表)によると, 毎年新しく葦筒を交換することによつて, 最も寄生率の高いダニや寄生菌類を防ぐことができる.3. マメコバチの出現期間とりんごの開花期間.りんごの開花期間はマメコバチの出現期間の後半の1/2.5を占めていて, 最も営巣活動の盛んなときであるが, さらに増殖を計るにはりんごの開花前の花粉, 花蜜源植物の存在が必要である.4. 授粉樹.単植園でのツツハナバチ類で授粉効果を充分に上げるのは困難である.従つて, 将来生産性のある授粉樹として適切な品種の混植または高接されることが望ましい.5. 防除暦.両県とも芽出し2週間後(長野県の低毒性有機リン剤, 青森県のデナポン剤), 落花直後(長野県の低毒性有機リン剤)の殺虫剤の散布はツツハナバチ類にとつて有害であるので, 散布が差し控えられることが好ましい.今後, ポリネーター利用に際しては開花前後の殺虫剤散布が再考されなければならない.6. 将来.りんご栽培の省力化に伴ない, 人工授粉に要する労力は他の作業にまわし, 授粉はポリネーターに任せられるような体制が確立されることが望ましい.
- 日本昆虫学会の論文
- 1965-03-20
著者
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