スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (III) その寄生(突出)部位について
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概要
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本論文はスズバチネジレバネの寄生(突出)部位について報告したものである(調査全個体数115, 調査寄主数4種).1. 最大寄生頭数はそれぞれ寄主オオフタオビドロバチ雌に寄生したものでは6個体, 雄では4個体であつた.平均寄生頭数はそれぞれ寄主オオフタオビドロバチ雌では1.9個体, 雄では1.7個体であつた.2. 寄主幼虫類の食性と生活様式から判断しても, 自養性および他養性幼虫類に寄生するネジレバネ類では継続的多寄生現象の結果過寄生現象がひんぱんに起るのは当然であるが, スズバチネジレバネのように自律他養性幼虫類に寄生するネジレバネ類では過寄生現象が起る可能性は少ないし, 多寄主してもその総数は少ない.3. 寄生部位は寄主ドロバチ類の種類およびその雌雄を問わず, 原則的に雌は寄主腹部の3-4節の背板の節間膜の間から頭胸部を突出させ, また雄も同様に4-5節の背板の節間膜の間から蛹化殼の先端を突出させている.このように雌雄でそれぞれ寄生部位分けをしている.4. 単寄生した, または寄生頭数が少ない場合は3に従つて突出するが, 多寄生した場合はある個体はひんぱんに異常寄生部位に突出する.その異常寄生部位の起る率は雄よりも雌の方が多い.5. 寄主腹部体内で占める空間の生態的地位が雌雄で異なり, 雌では3-4節, 雄では4-5節がそれぞれ優位な位置である.多寄生した場合, 優位な空間を奪われた雌雄はそれぞれ劣位の空間に突出するが, そのとき各寄生虫は空間要因に支配され寄主腹部体内でそれぞれ交互に空間を占め合つている(第2図).
- 1963-06-20
著者
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