スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (II) その生態および生活史について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文は前報に引き続き, スズバチネジレバネの生態および生活史につき断片的ではあるが報告したものである.1. 雄の羽化後の寿命は非常に短く, 4-8時間であつて, しかも敏捷に後翅を拡げて飛翔できるのはわずかに1時間程度である.従つて交尾はこの間に行なわれねばならない.2. 雄の羽化期間は6月末から7月中旬に至る最少16日間で, 最大20日ぐらいであると推定する.3. 羽化時刻は, 調査しえた8個体についてみると, 午前中に羽化したものが7個体で, 午後に羽化したものが1個体であつた(第1表).それらの羽化時刻は寄主ドロバチ類の日周活動としての訪花時間と一致している.交尾は主に寄主の訪花吸蜜中に, それに寄生している雌との間で行なわれるものと考える.4. 長野県伊那地方の調査では, 雄は寄主オオフタオビドロバチの羽化後10日目に羽化した.従つて蛹の期間は前蛹の期間も含めて約10日間前後だと考える.5. 寄生率をその寄主オオフタオビドロバチ雄に寄生していたものについて求めてみると, 非常に高く27.3%であつた(1959年).スズバチネジレバネの寄主選択性はオオフタオビドロバチに対して最も強い.6. 性比は, 調査した3種の寄主に寄生していた寄生虫の雌雄をそれぞれ合計して(1957年と1960年のものを加えて)求めてみた.結果は雌88個体に対して雄55個体であつた.7. 西南暖地においてはスズバチネジレバネの一部の個体は, 寄主オオフタオビドロバチの一部の個体が2化性のためその世代に合わせて, 2世代目が9月に出現する.8. Elenchus, Stylopsにおいて形態学的に証明されているように, スズバチネジレバネの雌の体壁も3枚の表皮, すなわち終令幼虫皮, 蛹皮および成虫皮より構成されている.
- 1963-06-20
著者
関連論文
- ツツハナバチ属によるりんごのポリネーションに関する研究 : (II) ポリネーターとしてのツツハナバチ属利用の特性と問題点
- スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (III) その寄生(突出)部位について
- スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (II) その生態および生活史について
- キオビツヤハナバチの天敵, Hockeria sp. について
- テントウムシ科の天敵に関する生態的知見 : I. テントウムシヤドリコマユバチ Perilitus coccinellae (Schrank)
- 孤独性花蜂, コガタノコハナバチの生態学的研究 : (I) 営巣環境と営巣密度の変遷
- スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (I) その生態および生活史について