スズバチネジレバネに関する生態学的知見 : (I) その生態および生活史について
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概要
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本論文は, スズバチネジレバネの生態について断片的ではあるが報告したものである.1. 寄主として, 従来判明, 記録されていた3種に, 次の2種を寄主として追加する.Rygchium haemorrhoidale fukaii Cameron, R. flavopunctatum f.tsushimarum Yasumatsuこれらによると, スズバチネジレバネはEumenes, RygchiumおよびOdynerusの3属, 計6種を寄主としている.2. 母体の体腔内でふ化した第一令幼虫は3本の生殖管の蠕動運動によつて, 体腔内から育房へと運搬され, 育房に溜まつた第一令幼虫は育房の開口から母体外へ出現する.その際, 体腔内でふ化した第一令幼虫は育房に順次移動し, 次から次へと育房の開口から出現するものであつて, 体腔内でふ化した第一令幼虫が全部育房に溜まつたのち, 始めて育房の開口から出現するものではない(第2図).3. 体腔内での卵の発育は, 精子の侵入方向と関連があり, 体腔内の前方で早く, 後方に至るに従い順次発育が遅れている(P1.2-F).4. 野外での第一令幼虫の出現期間は7月の初めから中, 下旬に至り, その期間は2週間は充分にある(第1表).5. 産卵数(出現可能第一令幼虫数)を, 寄主オオフタオビドロバチに寄生している個体について調査した結果によると, 産卵数は寄主の雌雄および寄生頭数(単寄生, 多寄生)によつて著しく左右されることが認められ, それら一個体の産卵数は最大12, 000個, 最少2, 000個程度である(第2表).
- 日本昆虫学会の論文
- 1963-02-28
著者
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