広島湾北部域における底層懸濁粒子からの音響散乱特性 : 超音波ドップラー分布計による底層濁度と体積濃度の測定可能性について
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概要
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周波数1.5MHzの超音波ドップラー分布計(ADP)を使用して,広島湾北部域で音響散乱と流速を観測した。ADP観測と同時に,底層に設置したレーザー回折測定器(Laser In-Situ Scattering Transmissometer; LISST-25)と散乱光式濁度計により,懸濁粒子(SPM)の体積濃度と濁度を連続測定し,ADPにより測定した音響後方散乱エネルギー(ABSE)と比較した。また,体積濃度とABSEから後方散乱断面積を求め,懸濁粒子のザウタ平均粒径との関係を調べた。懸濁粒子の粒径がRayleigh散乱領域にあるにもかかわらず,観測結果は,ABSEが粒径によって大きく変化することはないことを示唆している。凝集体である懸濁粒子の海水に対する密度比と音速比が,粒径が大きくなるとともに小さくなる結果,粒径変化にともなう後方散乱断面積の変化が小さくなっていると考えられる。そのため,底層のABSEとSPMの体積濃度,濁度との間には高い相関が観測されている。さらに,底層のABSEはSPMの重量濃度ともほぼ比例関係にあると推測される。流速が大きくなると底層のSPMの粒径は大きくなる傾向がみられるが,観測期間中の流速範囲ではSPMの体積濃度が流速とともに大きくなることはない。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
-
川西 澄
広島大学大学院工学研究科社会環境システム専攻
-
長井 敏
瀬戸内海区水産研
-
小谷 祐一
(独)水産総合研究センター西海区水産研究所
-
川西 澄
広島大学大学院工学研究科 社会環境システム専攻
-
松山 幸彦
瀬戸内海区水産研究所
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水野 博史
広島大学大学院工学研究科 社会環境システム専攻
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小谷 祐一
瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部
-
小谷 祐一
(独)水産総合研究センター中央水産研究所
-
松山 幸彦
瀬戸内海区水産研
-
松山 幸彦
(独)水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所
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