ポリ(ο-メトキシ)アニリンフィルムの電解伸縮挙動

概要

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導電性高分子ポリアニリン(PAni)は様々な機能性を有する有機材料として注目を集めてきた。近年になって、その性質として酸化還元によって伸縮する特性が発見された。この挙動は電気化学的に制御することができ、電気化学アクチュエータへの応用が期待されている。我々は、これまでに様々な角度からPAniの電気化学的な酸化還元反応による伸縮挙動について研究を行ってきた。その結果、PAniの電解伸縮に対して、(1)電荷補償のための嵩高いドーパントイオンの脱注入、(2)酸化還元に伴われる高分子鎖のコンホメーション変化、(3)高分子鎖内でのポリカチオンの生成・消失といった機構が関与しており、中でも(1)の機構が主要因となっていることが分かった。 PAniのアクチュエータへの応用性を考えた場合、人間の筋肉が10%近い伸縮を示すのに対しその伸縮率は5%程度とまだまだ小さい。そこで、先の発現要因を考慮した上で、新たな材料を探す必要があると考えた。今回は、PAniの誘導体でありオルト位にメトキシ基を持つポリο-メトキシアニリン(PoAni)を重合し、その電解伸縮挙動の観測を行ったので、その結果について報告する。
1997-08-13