導電性高分子ポリアニリンの電気化学的伸縮挙動
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概要
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導電性高分子は、非有機系半導体には見られない大きな特徴として電気科学的なその場ドーピングが可能な点が挙げられる。こうした機能を積極的に応用し、電子デバイスを作製することは、既存概念に捕らわれない新規なデバイスを構築する上で重要な要素となると共に、有機系電子材料のデバイス化への一つの道標を与えるものと言える。さて、導電性高分子は電気化学的ドーピング過程に際し、電気的・光学的特性の著しい変化を呈するが、一方で力学的な変化も見られることは知られていた。しかし、電子材料としての立場から機械的機能に関してはあまり顧みられることはなかった。一方、高分子ゲル体の、電界印加による伸縮挙動を利用した新規なアクチュエータに関する試みが国内外で発表され始めている。この種のアクチュエータの特徴は、ピエゾ等を用いた既存のアクチュエータに比較し、その駆動電圧が著しく低いためその制御等において優位であるばかりでなく、動きが極めて滑らかであり、より生体に近い動作性能を有していることから、いわゆる人口筋肉としての応用等が考えられる点にある。さて導電性高分子も、電気化学的ドーピングに際し、伸縮挙動を呈することが知られており、この機能を利用することで、いわゆる電気化学アクチュエータの作製が可能となる。また、一方で電気化学的ドーピングに際する導電性高分子の伸縮挙動を詳細に追うことは、導電性高分子のドーピングメカニズムをレオロジー的観点から調査する新たな手法を与える。さて、導電性高分子ポリアニリンは、(1)プロトネーションによりドーピングが生じること、(2)このプロトン化によりルコエメラルディンソルト(LES),エメラルディンソルト(ES),ペニグラニリンソルト(PNS)の三つの化学構造の変化を伴うこと、(3)そしてこの三形態間で二段階の酸化還元反応を示すことなどの点で、他の導電性高分子との違いが見られる。こうしたポリアニリンの伸縮挙動を詳細に追うことは学問的立場からも興味深い。ここでは、特に化学重合した配向したポリアニリンフィルムについて、その伸縮挙動の異方性を調査し、アクチュエータへの応用を調査した。
- 1995-03-27
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