色恒常性における照明光及び反射率変化の識別特性

概要

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ヒトは照明光の変化にあまり影響されることなく物体表面の色を知覚することができる. このような現象を色恒常現象と呼ぶ. これまでの心理物理実験結果は, apparent colorとsurface colorの二つの色知覚が存在すること, また, 照明光への完全な順応が存在しない限り, surface colorでのみ色恒常性が成立することを示唆している. 一方, 計算論的には色恒常性の問題はセンサ応答量から対象の反射率を推定するという問題に帰着され, こうした色知覚の2元性はこれまであまり積極的に扱われていなかった. 本研究では, apparent color, 及びsurface colorという2種類の色知覚の特性を明らかにすることを目的とし, 従来の色合せ課題ではなく, 照明光及び反射率変化検出課題を用いてこれら色知覚に対する周辺刺激の影響を調べた. その結果, 中心刺激に対する色知覚は周辺刺激からの抑制的な影響を受けること, その大きさと空間構造がapparent colorとsurface colorでは明らかに異なること, 視覚経路で階層的に接続された2種類の異なる色知覚モジュールを仮定することで実験結果を説明できることを示す.
社団法人電子情報通信学会の論文
1999-01-25