標準正則化理論の多価関数への拡張 : 滑らかな多重表面の復元
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概要
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視覚情報処理における複数の重なり合った表面の復元問題(透明視(トランスペアレンシー)と呼ばれる)に代表される多価関数によるデータ近似を実現するために,標準正則化理論の拡張を試みる.従来の標準正則化理論は,関数がある滑らかさをもった1価関数であるという前提条件のもとでデータの関数近似をすることができたが,物体境界などにおいて関数が不連続になる場合は,線過程のような滑らかさの切断を表現する補助的な場やそれと同等のメカニズムを導入する必要があった.また,多重表面の復元のための多層表現法も提案されているが,これもまた,データの所属を表す補助的な場を導入する必要があった.これらのアプローチのいずれも,エネルギー最小化問題が一般に非2次かつ非凸の非線形最適化問題となり,インプリメンテーションにかなりの工夫が必要であった.このために,この分野の研究は,この最適化をいかにうまく行うかに関心が集まっていた.本論文では,テンソル積の概念に基づいた多価関数の直接的表現法を提案し,これら補助的な場を導入しなくても,多価関数によるデータの関数近似問題を1個の2次汎関数のエネルギー最小化問題に帰着できることを示す.従って,この場合,オイラー・ラグランジュ方程式は線形になり,従来の標準正則化理論のために用いられてきた最適値への収束が保証された最適化手法がほぼそのまま利用できる.更に,この拡張された標準正則化理論を用いて透明視モデルのための2重表面復元の緩和型超並列アルゴリズムを導出し,シミュレーション結果を報告する.
- 1994-06-25
著者
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