多価正則化ネットワークを用いた逆キネマティクスの学習
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概要
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非線形写像f:R^m⟼R^nの逆を関数近似する問題は、多くの逆問題に現れる基本問題である。現実の逆問題は、不良設定であり、可逆写像でない。そのため、正則化手法を用いて、良設定化することが行われる。しかし、写像の非線形性が強いと、正則化を施しても逆写像の解が複数個存在する。従って、通常の関数近似やニューラルネットの直接的適用はできない。そこで、クラスタリング手法や、教師なし学習の利用が提案されている。しかし、(1)データが十分密に得られる必要があるため、大量の教師データが必要、(2)入出力写像を直接表現できず、写像の評価計算に工夫が必要、という問題点があった。筆者は、h価写像を直接関数近似する多価正則化ネットワーク(Multi-Valued Regularization Network MVRN)を提案した。本稿では、MVRNを用いた逆問題の解法例として、図1に示した2次元平面を運動する3関節マニピュレータ制御の逆キネマティクスの学習問題を取り上げる。逆キネマティクスは、マニピュレータ先端の状態からそれらをもたらす各関節の状態パラメータへの写像を求める問題である。図1の例では、関節角(θ_0,θ_1,θ_2)からアーム先端の座標と方向(p,q,φ)への写像gは,次式で表される。p = l_1cosθ_0+l_2cos(θ_0+θ_1)+l_3cos(θ_0+θ_1+θ_2) q = l_1sinθ_0+l_2sin(θ_0+θ_1)+l_3sin(θ_0+θ_1+θ_2) φ = θ_0+θ_1+θ_2 (1) θ_2,は、θ_0とθ_1が求まれば、φからθ_2=φ-θ_0-θ_1で計算される。φを固定して考えると(θ_0,θ_1)から(p,q)への非線形写像gの逆を求める問題である。この方程式を満たす教師データ{(θ_<0(i)>,θ_<1(i)>),(p_<(i)>,q_<(i)>)}^N_<i=1>から、写像gの逆を近似的に実現する逆キネマティクスを写像学習で求めたい。しかし、図1の破線で示した構成も同一のアーム先端状態をもたらす。したがって、通常の関数近似法では、無意味な平均値が学習されてしまう。図2(a)は、3で述べるシミュレーションで用いた教師データを(p,q,θ_0)空間にプロットしたものである。θ_0軸方向にデータが2層に分布している。このデータの2価関数近似を行う。紙面の都合上、θ_0成分に関する結果だけを述べる。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1995-03-27
著者
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