71. 核DNAと細胞質Glycogenの1個細胞内同時定量法の開発 : 蛍光二重染色と顕微測光法を用いて

概要

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ラット腹水肝癌AH-13の細胞質Glycogen量が細胞周期に従ってどのような変動をしているかを解析するために, 核DNAに対してAcriflavineを用いたFeulgen反応を行ない, さらに細胞質Glycogenに対し, Pararosanilineを用いたPAS反応を行なうことにより, 1個細胞中で顕微蛍光測光法を用いて, 二つの物質の同時定量を行なう方法を開発した。細胞質Glycogenは通常の状態では, Feulgen反応の酸処理加水分解のプロセス中にほとんど全て流出してしまう。ところがメタノール固定後の塗未細胞を, 3ケ月以上乾燥保存すると, Glycogenは5N-HCl, 25℃, 4min.の条件でその約80%が保たれるようになることが分かった。又一方Acriflavineはこの条件でも核を強く染め, di-及びtetraploidの肝細胞核で定量性を検討した結果, 変動係数が各々約10%で, 平均値の比が1 : 1.99であった。この条件で二重染色したAH-13細胞で, Acriflavine Ex : 434nm, Em : 520nm, Pararosaniline FX : 549nm, Em : 630nmで顕微測光した結果, DNA量とGlycogen量とは正の相関を示し, 細胞周期の進行にともない, Glycogenが蓄積する傾向のあることが分かった。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01